レクチャー&トーク
特集上映+トーク:
矢野ほなみ
「てんてんともやもや」
2021年の短編作品『骨噛み』がオタワ国際アニメーション映画祭で短編部門グランプリ、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞、そして本映画祭でも審査員特別賞を受賞し、新進気鋭のアニメーション作家として大きな注目を受ける矢野ほなみ。
本プログラムでは国際審査員として来場した矢野氏による、在学時代の卒業制作作品から近年のミュージックビデオ作品までを一挙に上映。上映終了後は矢野氏が登壇し、自身の制作についてお話しします。
『染色体の恋人』
カフェで向かい合う人、髪の毛を吸う人、ひたすら走り続ける人と、 通り過ぎていく街、河川敷を歩く少女。世の中には色んな人がいて、色んな愛がある。
『骨嚙み』
父親の葬式で、少女は父と過ごした最後の夏を思い出す。 日本のとあるちいさな島でのいとなみ。
『夕焼け』
いつものように、電車は満員だった。自分の席に座っていた女の子が、おじいさんに席を譲る。 しかし、そこにもう一人がやってきた。 ありふれた日常の中の受難者を描くことで、現代における「受難」、そしてやさしさとはなにかを問う。 本作品は、吉野弘さんの詩をもとに高田渡さんが歌った曲の世界をアニメーションで立ち上げた作品です。
音楽:高田渡「夕焼け」
『ブルネット先生、ここにおいででしたか?』
ダンテ『神曲』第15歌 地獄の第7の谷、第3圏では、 同性愛的であるがために「自然の摂理 に反した」とされる人々が苛まれている。 そこにはダンテの師、ブルネット・ラティーノがいた。ところで、700年後のここは現代架空日本。 猫のダンテは大学生。 禁酒令が下った街では、酒が飲めない。
『第24回 DigiCon6 ASIA Awardsオープニング映像』
遠くのアイデアを釣る子ども、同じ空を泳ぐ青い鳥と魚、だれかが掲げている太陽は、水中の猫みたい。遠く離れていても繋がり影響しあっているアジアを想像しながらつくりました。
DigiCon6 / TBS Holdings,Inc.
『「TRIGUN STAMPEDE」エンディングアニメーション』
星という存在の静かな祝祭とよろこびには、星には手が届かないという切なさが同居しているように感じます。作中のナイヴズの視点と星をテーマに、星をランダムな光や運動として描くのではなく、形と意味があることと捉え、12星座としての双子座の神話を映像の背景に持たせることを考えました。朝になれば星は消え夜になれば現れるようなイメージもまた、本作の主人公たちヴァッシュとナイヴズの関係性に近いと感じながら。
エンディングテーマ
「星のクズ α」
Salyu × haruka nakamura
作詞/作曲/編曲:haruka nakamura
(TOY'S FACTORY)
© 2023 内藤泰弘・少年画報社/「TRIGUN STAMPEDE」製作委員会
© 2023 Yasuhiro Nightow, SHONENGAHOSHA / TRIGUN STAMPEDE Project
『Bialystocks “はだかのゆめ”』
「はだかのゆめ」とは何だろう、自分が〈はだか〉であることさえ気がつかないでいられた、無垢でふわふわした安心の感覚は、まさに取り残された者が愛する人を想い心温められるその気持ちに似ているようです
。甫木元監督が映画に込める思い、そして虚像と実像の間に結ばれる光の優しさを、MVとして自分なりに、身近な生と死、花や季節に込めたいと考えました。失われた命は戻らず、生者は想い続けるしかない。映画「はだかのゆめ」の母と、ゆめを思いながら制作しました。
音楽:Bialystocks「はだかのゆめ」
『NHK「みんなのうた」さよならの向こうに』
はじめて松下洸平さんの「さよならの向こうに」に耳を澄ませた時、遠い故郷を後に暮らす友人の顔が思い浮かびました。そして彼が経験してきた「さよなら」を思いました。たった一回きりの最後の「さよなら」の前に、私は無数の「さよなら」を経験する。その中には、ただ一度の「さよなら」も、明日が約束された「さよなら」もありました。本作は全編を通して紙の上に作画をしましたた。「さよならの向こうに」広
がる世界を涙の雨とも共に歩きたい。彼らと作った笹舟に乗って。
音楽:松下洸平「さよならの向こうに」
NHKみんなのうた「さよならの向こうに」より
(C) NHK/矢野ほなみ
『City Cyndrome “Harajuku Boy”』
日本の原宿の街にはKawaiiが溢れ、雑多でありつつも純粋で剥き出しな若さがあります。MV制作のために何度か原宿の街を歩きましたが、この街の”恋”とは一体どんなヴィジュアルなのだろうと考えました。楽曲から浮かび上がるタフな女性とHarajuku Boyの視点の交差、すれ違いを、傲慢なほど”わたし自身”の視点を持ってアニメーションとして描きたいと思いました。
音楽:CityCyndrome 「Harajuku Boy」
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