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新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会では、2023年11月2日(木)〜6日(月)までの5日間に渡り新千歳空港シアターを中心に「第10回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」を開催しています。
オリジナル作品の制作資金を募るプレゼンテーション企画「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH 2023」が11月5日(日)ポルトムホールにて行われ、アニメーション作家・山田遼志 氏の『寒山拾得』が「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH AWARD」を受賞しました。
NEW CHITOSE AIRPORT PITCH 2023について
今年で3年目のプロジェクトとなるこの取り組みは、日本で活動するアニメーション作家が世界で活躍する機会を後押しし、豊かなアニメーション文化の育成を図るべく、オリジナル作品の制作資金を募るプレゼンテーション企画です。一般観客はもちろん、プロデューサーまたは共同制作する作家や制作会社との出会いの場を提供することを狙いとしています。
映画祭事務局が独自の観点から特に評価する1つのプロジェクトに対して、「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH AWARD」を選出。副賞として制作支援金30万円を授与するほか、映画祭でのトークへの参加や、作品公開の機会を設けるなど、メリットとなるようなサポートをしていきます。
今年度は、King Gnuのミュージックビデオ「PrayerX」やTVアニメ「オッドタクシー」のオープニング映像などで注目を集めるアニメーション作家・山田遼志の新作、ASK?映像祭2021で大賞受賞歴をもつ副島しのぶの新作などをはじめ、バリエーション豊かな意欲作が揃いました。
アワード受賞は、山田遼志 氏の新作『寒山拾得』
本年の「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH AWARD」は、山田遼志『寒山拾得』が受賞しました。
本作のモチーフである寒山拾得は、中国で実在したとされる二人の僧侶のことで、中国をはじめ日本でも水墨画や短編小説などさまざまところで描かれてきました。山田氏は「なぜ今までアニメーションにおいて描かれてこなかったのか、また禅の象徴である寒山拾得図は不条理な世界で生き抜く術を描いているのではないかと考えている。世界は常に不条理で不安定である、だからこそアップデートされたユーモアを見つける必要がある」と惹かれる理由や、現在のプロジェクトの進捗について説明しました。
アワードを発表した本映画祭チーフディレクターの小野朋子は、この度のプレゼンテーションを「企画書段階である程度絞ってきたが今年は企画書のレベルが高かった」と総評し、選考は作品の優劣ではなく本映画祭として一緒に取り組みたいプロジェクトであるかを基準に選考したことを伝えました。
受賞した『寒山拾得』について小野は、「歴史に深い考察を張り巡らせながら、あくまでもユーモアを据えていて、かつ絵が強くてポップ。これが重要。アニメーションは現代社会に別の回路を開いてくれるような存在です。この作品が、映画祭にとっても何かアップデートになる気がしている」とし、「アジア全体にとって重要な作品になるよう、一緒に旅をしたいと思っています。」と選考理由と本作への期待を述べました。
山田氏は、「横尾忠則さんに先を越されて悔しい思いをしていた」と、同じく寒山拾得をテーマにした企画「横尾忠則 寒山百得」展を意識している様子で、「この受賞をきっかけに、新作をごりごり進めていきたい」と意気込みを語りました。
本プログラムは、映画祭公式YouTubeチャンネルにて、後日収録映像の配信を行います。詳細は公式ホームページまたは各種SNSをご確認ください。